以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と最新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、あえて、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、こうした形で情報を発信することにしました。
いつ頃からか言い出されたのかは不明ですが、「自分探し」という言葉を耳にします。「自分はいったい何ものなのか」「自分の可能性はどこにあるのか」の答えを追い求めることを言うようです。
四柱推命において、この言葉に対応する部分は何であろうかと考えますと、印と食傷による「通変の調和」であることがわかります。「通変の調和」については、当コラムであれば「Vol.60 「通変の調和」を発見してから、まだ4年」に多少触れてありますが、詳しくは『サクサクわかる 四柱推命の本』を参照してください。
では、なぜ印と食傷が剋になるのなら、「自分探し」になるのかを、拙著を読まれていない方にもわかるように説明してみます。
まず通変の「印」の作用・事象について、関連部分を取り上げることにします。
「印」の根源的な作用・事象は、生理的・感覚的な満足感の探求です。楽しい、心地いい、うれしいといった精神状態を実現しようとする作用があります。オタクと言われる人の精神的根源にもなります。趣味を持ち没頭する、おいしいものを探し求める、興味のある本を読破する、といった事象につながります。一方で、興味のないものには一切見向きもしないという事象にもなりますので、世の中に数多ある情報の中から、自分に合うものを取捨選択することになります。
この取捨選択の基準はまったく個人的なものでしかなく、他人と共有できないことがほとんどです。当コラム「Vol.57 通変の印は苦痛を楽しみに昇華させる麻薬のよう」を参照してください。
この「印」の作用により、その人の個性の大元となる、知識であったり、技術であったり、感性であったり、さまざまな形で独自のものが形成されることになります。
しかし、その人独自のものも、絵にしたり、曲にしたり、文章にしたり、言葉にしたりして、人に伝えることができる形態にしませんと、何もないのと同じことになってしまいます。
ここで通変の「食傷」が関わってくるのです。「食傷」の作用・事象は、表現です。
つまり、「印」と「食傷」が剋になることにより、生成発展の契機が生まれるのです。剋に関しては、不良な作用として扱う推命が多くありますが、間違いです。剋にこそ、予想外の成果を生み出す作用があるのです。
四柱八字中において、日干に「印」あるいは「食傷」が隣接していて、大運に「印」あるいは「食傷」が巡りますと、「通変の調和」が成立します。この大運期には、楽しさや充実感を感じることに次々に挑戦し、試行錯誤を繰り返します。その結果、「余人をもって代えがたい」といった境地に至ることになるのです。
以上が「印」と「食傷」の剋が、「自分探し」と理解できる所以なのです。
※上記の説明には、本書独自の蔵干の考え方と、格局に代わる」「旺の逆転」という視点が含まれています。詳しくは、基礎から最高峰を目指す『四柱推命の本』を参照してください。
2014・9・23
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